希望を叶える横浜市 税理士

以下、日本最大の証券取引所である東京証券取引所に例をとって説明していきましょう。
五十九年秋に完成し、六十年五月十三日から売買を開始した新市場館は地上三階、地下三階、高さ二十五メートル強、延面積一万四千平方メートル弱の大きさで、一階(二階まで吹き抜け)が「株券売買立会場」、地下一階が「債券売買立会場」、地下二階が「システム売買室」と呼ばれています。
新市場館は旧市場館が老朽化したという理由だけでなく、むしろ取引所売買を全面的に機械化しようという意図からの建設だったわけで、地下二階のシステム売買室(約四百四十平方メートル)はその表れです。
中央処理装置を軸として多数の端末制御装置が備えられ、上場株の八〇%以上に相当する銘柄の売買が1ンピューター売買、として執行されています。
といっても、この部屋は無人の機械室ではありません。
一つ一つの端末装置の前には才取(さいとり)会員が坐っていて、取引所と回線を結んでいる正会員業者からの注文状況を眺めながら、その売買をうまく結び付ける仕事をしています(才取会員とは、このように正会員の売買を円滑にする仕事を専業とする取引所会員業者です)。
さらに少数の取引所職員もいて、これらの売買の管理をしています。
しかし、あとで述べる一階の立会場とは違い、大変静かな売買場なのです。
このシステム売買室での売買銘柄以外の二百五十銘柄は、一階の「株券売買立会場」で売買されています。
ここでも種、のコンピューター化、機械化が進められてはいますが、売買の主体は「場立(ばたち)」と称する証券会社から派遣された従業員なのです。
ここで売買される二百五十銘柄は東証の人気株なので売買量が多く、したがってコンピューターといえどもその処理が完全にしにくいという理由から別扱いになっているのです。
要するに、コンピューター売買に関するシステムが完成していないからなのでしょう。
そう遠くない将来には百パーセントのコンピューター売買が実施されるのでしょうが、そのためにはシステム開発の進歩と同時に、証券界のコンピューターに対する不信感も一掃されることが必要となりましょう。
なお地下一階の「債券売買立会場」は、やはり人力が主となっている売買ですが、これは取引所内での債券売買が非常に不活発であり、機械化してもそれだけの効率性が期待できないためです。
取引所は年がら年中売買をしているのではなく、日曜と祭日は一日中休みです。
それから年の初めの三日、年の終わりの三日を休みます。
つまり普通の年は一月一日から三日までと、十二月二十九日から三十一日までが休みです。
ただし十二月二十八日が日曜のときは翌年一月四日も日曜になるので、その分だけ休日がふえます。
次に毎週土曜は午前の立ち会いだけで午後は休みです(第二、第三土曜日は全休)。
大発会、つまりその年の最初の立会日(普通は一月四日)と大納会、つまりその年の最後の立会日(普通は十二月二十八日)とは半日休みです。
次に立会時間は一般の株式については午前九時から十一時、午後一から三時の二回になっています。
午前中の立ち会いを前場といい、午後の立ち会いを後場と呼んでいます。
つまり前場も後場も二時間ずつ合計一日四時間の立ち会いが行われます。
土曜と大発会、大納会だけは前場だけですから二時間の立ち会いです。
以上のような株式・債券の売買を、だれがどのようにして運営していくのかという、証券取引所の組織について少しながめてみましょう。
まず現在の証券取引所は会員組織です。
証券会社だけが取引所の会員となって自主的に運営していく建前です。
といっても現実には完全な自主運営ではありません。
大蔵省の厳重な監督がありますし、銀行や事業会社の協力なくしては運営できませんし、また取引所運営の直接責任者である理事(役員)二十四人(理事長を含む)の大多数は証券会社の代表者ですが、一般の学識経験者から選ばれた公益理事という人も四人含まれています。
ということは、証券取引所という存在は、決して証券業界のためにだけあるのではなく、経済界全般と、一般投資家のために存在していることを意味します。
もちろん、理想としては証券業界が完全な自治を行って、しかも公正中立な運営が行われるべきなのですが、人間である以上、いくつかの過ちを起こすことは当然考えられます。
また、同業者の間で激烈な商売上の争いも起きることは予想しておくべきでしょう。
そこでいろいろなチェック機関を置いているわけです。
当然、取引所正会員になろうとする要求も強まり、東京証券取引所は会員の定数をふやし、外国証券六社が六十一年二月から正会員となりました。
また証券会社の免許を得ている外国証券会社は、六十年末で二十社に達しています。
戦後の三十六年以上、外国証券会社に閉鎖的だった日本の証券市場も開放され、いろいろの点で刺激を受け、一段と活性化するものと期待されています。
また、日本側の開放と並行して、ニューヨークやロンドンの証券取引所でも日本の証券会社の正会員加入をしだいに認めてきています。
なお会員には正会員と才取会員との二種類があります。
立ち会いの説明のところですでにこの才取会員のことにふれましたが、才取会員はお客から注文を受けることができず、しかも自分の思惑で売買をすることもできません。
正会員と正会員との売りと買いとを取り次ぐことを本業としています。
取引所では、どんな得体の知れない株でも売買するというわけにはいきません。
一般大衆がこの取引所を通し、株を買ったり売ったりするのですから、やはり筋の通ったいい株式だけを売買するようにしなければなりません。
筋の通ったいい株式といってもその基準はいろいろあり、そうしたふるいにかけられて合格したものだけが取引所の中で売買されます。
これを上場(じょうじょう)といいます。
したがって上場された株を上場株、または上場銘柄(建て株ともいい、その株の会社を建て株会社という場合があります)といいます。
なお上場を認めたり廃止したりする直接の権限は証券取引所の理事会にありますが、最終的には大蔵省の認可を必要とします。
これまでに何回か「第二部市場」という言葉が出てきながら説明してありませんでしたので、ここで概略述べておきましょう。
第二部という言葉からもわかるように、この市場は第一部より劣るという意味があります。
といって非公式の市場ではなく、堂々たる公式市場であり、だからこそ証券取引所の中で売買が行われているのです。
ではなにが劣るかといえば、上場銘柄の格が劣り、その規模が劣るとでも考えたらいいでしょう。
第一部市場の上場会社の株主資本で最も多い層は「百億円以上五百億円未満」であるのに対し、第二部では「二十億円以上五十億円未満」の層が最多となっています。
株主資本の大小だけが会社の格を決めるものではありませんが、やはり第二部会社は二流的な存在だと言えるでしょう(成長性・収益性は別です)。
また、時価総額では第一部の四から六%、出来高は二から四%という状態です。
このように第二部市場は第一部に比べかなり格差があるのですが、だから役割が小さいとは言えません。
第二部市場は第一部銘柄の養成場の形になっているからです。
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